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高感度加速器質量分析

高感度加速器質量分析

炭素14をプローブとした分野横断型先端研究

物理学分野 門叶冬樹 教授

山形大学では、サンプル中の炭素14濃度を高感度かつ短時間に測定することができる高感度加速器質量分析システムを山形大学総合科学研究所に導入しました。このシステムの主要部は微小サンプルの炭素だけをグラファイト試料として抽出する全自動グラファイト作成装置と加速器質量分析装置(AMS:Accelerator Mass Spectrometry)です。私たちは、この加速器質量分析システムを用いて分野横断的研究を推進しています。

新しい元素の発見に関する研究は世界中でしのぎを削って行われています。この領域には、原子を数個レベルの質量で捉える高感度加速器質量分析は、欠かせません。この際培われた手法を炭素14に適用して、さまざまな分野への広がりが期待されています。

地球には、宇宙から放射線が定常的に降り注いでいます。大気の上層では、この宇宙線と大気との核破砕反応によって生成された中性子が大気中の窒素(14N)に吸収され、炭素の同位体である14Cが生成されています。炭素14(14C)は生成後、酸素とすぐに結合して二酸化炭素(14CO2)になり、大気循環を経て光合成により植物に吸収され、食物連載により動植物に取り込まれます。生物がその生命活動を終えると、炭素は体内に取り込まれなくなります。自然界の炭素には、この炭素14のほかに、炭素12と炭素13があり(数字は、陽子数6と中性数6、7、8の合計)、その存在比率は、炭素12が98.9%で、炭素13はわずか1.1%、炭素14にいたっては0.0000000001%、つまり1兆分の1にすぎません。炭素12、13は科学的に安定しているのに対し、炭素14は不安定で約5,730年の半減期で窒素14に壊変し、時間とともに一定の割合で減少するため、年代を測定したいサンプルに含まれる炭素14の濃度(炭素12と14)の比率を調べることで年代を測定することができます。(この測定方法は放射性炭素年代測定法と呼ばれ、実証したシカゴ大学のリビー博士は1960年にノーベル化学賞を受賞しています。)



山形大学では、サンプル中の炭素14濃度を高感度かつ短時間に測定することができる高感度加速器質量分析システムを山形大学総合科学研究所に導入しました。上の左図はは、微小サンプルの炭素だけをグラファイト試料として抽出する全自動グラファイト作成装置で、上の右図に示した、加速器質量分析装置(AMS:Accelerator Mass Spectrometry)です。私たちは、この加速器質量分析装置を用いて下の図に示したような分野横断的研究を推進しています。


山形大学で取り組んでいる加速器質量分析装置を用いて取り組んでいる主な分野

太陽活動、宇宙線、気候変動の研究

古木の単年輪毎の炭素14濃度測定による、古代の太陽活動と宇宙線強度変動、そして気候変動の研究です。鳥海山の麓から掘り出された2600年前の神代杉や屋久杉、天童市若松寺の千年杉が測定対象となる。また、新元素探査などの研究にAMS周辺技術が活かされています。

考古学・文化財科学

年代測定により解き明かす、旧石器、縄文、弥生から現代にいたる日本の文化と歴史の研究です。

医学・薬学・生化学

微量の炭素14で標識した候補薬物を生体内に投与し、生体内の薬物動態をAMS 装置によ高精度に分析する、マイクロドーズ法の応用研究を推進します。

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