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プルシアンブルー薄膜の電気化学的なイオン挿入メカニズムを解明

2019.02.15

人工色素プルシアンブルー(PB)は今日、イオン二次電池やキャパシタ電池の電極活物質として実用化が期待されています.電極活物質の機能制御・向上には、PBの電子・イオン伝導性と構造の結びつきを解き明かす必要があり、化学分野の石崎 助教、栗原 教授らが近年開発した低温アニール法(特許)はその糸口を与えます。 

この度、化学分野の石崎 助教、栗原 教授らは低温アニール法で作製したPB薄膜について、電気化学的挙動をサイクリックボルタンメトリー(CV)測定と紫外可視近赤外(UV-Vis-NIR)分光法で同時観測し、細孔サイズと伝導イオン種、電解質溶液種の違いがイオン挿入へ与える影響を系統的に整理しました。小さな細孔をもつPB薄膜では、非水系電解液中でK+イオンをスムーズに伝導せず、サイズの小さいLi+イオンを選択的に伝導することを明らかにしました(下図)。 

物理学分野の安東 助教らと九州産業大学の中尾 准教授は、この選択性の背後にあるメカニズムを理論的に検討しました。その結果、網の目のように細孔中にはり巡らされた伝導経路とフレームワークの電子(特にFe(II)中心のt2g電子)がLi+ イオンの侵入を促すと分かりました。一方、K+イオンは、結晶表面にある細孔の中心で安定化して内部まで侵入できず、また後続するK+の侵入を阻害したと考えられます。

この成果は次世代電池材料の戦略的設計に道筋を示すものです。インパクトファクター(IF)9.931 を誇る英国王立化学会(RSC)のトップジャーナル J. Mater. Chem. A 電子版に2019年1月30日に公開され、HOT Paper にも選出されました。

実験と理論、化学と物理学のインタープレイを推進する研究クラスター「材料イノベーションのための実践基礎科学」が本研究を主導し、一部は静岡大学電子工学研究所の共同研究プロジェクトと科学研究費補助金(石崎・若手研究B(26810030)、安東・若手研究(JP18K14234)、栗原・基盤研究B(15H03783、18H01988))の支援を受けて実施されました。

                           (物理分野 安東 秀峰 助教)

論文名

Redox-Coupled Alkali-Metal Ion Transport Mechanism in Binder-Free Films of Prussian Blue Nanoparticles

雑誌名

Journal of Materials Chemistry A、2019年、DOI: 10.1039/C8TA11776D

著者名

Manabu Ishizaki(山形大学)、Hideo Ando(山形大学)、Noboru Yamada(山形大学)、Kai Tsumoto(山形大学)、 Kenta Ono(産総研)、Hikaru Sutoh(山形大学)、Takashi Nakamura(産総研)、Yoshihide Nakao(九州産業大学)、and Masato Kurihara(山形大学、産総研)

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ジャングルジム状のフレームワークが電子(e-)伝導を、無数の細孔がアルカリ金属イオン(Li+やK+)の伝導を担い、電子とイオンの伝導プロセスは互いに絡みあっています。
Reproduced from DOI: 10.1039/C8TA11776D with permission from The Royal Society of Chemistry.

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