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2025.09.16

研究ニュース

博士前期課程1年の色川さんが第15回日本光合成学会年会でポスター賞を受賞

 山形大学大学院理工学研究科博士前期課程1年の色川璃音さん(河合研究室所属/生物学分野)が2025年6月7〜8日に埼玉大学で開催された第15回日本光合成学会にてポスター賞を受賞しました。
 本研究は、海洋性シアノバクテリアの一種で見つかった天然ハイブリッドタンパク質*1に注目し、独立して機能する非ハイブリッド型タンパク質との違いを明らかにするためにアミノ酸配列や予測構造、酵素活性の比較を行ったものです。

 シアノバクテリアは光合成を行う原核生物*2で、湖や海から砂漠や極地まで世界中に生息しています。シアノバクテリアは葉緑体*3の起源になったと考えられており、光合成生物の進化における極めて重要な存在です。光合成では光エネルギーから栄養となる糖を作る過程で電子の伝達反応が起こります。光エネルギーを化学エネルギーに変換しているのは光化学系とよばれる色素タンパク質複合体であり、光化学系Iから生じた電子はフェレドキシン(Fd)が受け取り、多種多様な還元同化酵素へと分配されます。その代表例がFerredoxin-NADP⁺ reductase(FNR)で、NADP⁺をNADPHに変換します。NADPHは炭素固定や窒素同化に必要で、生命のエネルギー代謝に欠かせません。
 細胞内においてFdとFNRはそれぞれ個別のタンパク質として存在し、電子の受け渡しをする際に複合体を形成します。しかし、本研究で対象としたシアノバクテリアは通常のFNRに加えて、本来独立して存在するはずのFdとFNRが融合して単一の分子の状態となったユニークなタンパク質を持つことを見出しました。本研究では、これらについて各ドメイン構造や活性の比較を行いました。また、非ハイブリッド型FNRを対象に、9種類の点変異体を作製し、活性測定を通してFdとの相互作用に重要なアミノ酸残基の同定を行いました。
 今後はハイブリッド型と通常型FNRの機能的役割や構造を解析し、生理的意義や進化的背景、新たな酵素制御メカニズムを明らかにすることを目指します。本研究で得られる知見は、光合成機構の多様性解明に貢献するだけでなく、人工酵素設計やバイオテクノロジー分野への応用にもつながることが期待されます。

*1天然ハイブリッドタンパク質:通常は独立して存在するはずのタンパク質やドメインが、単一のポリペプチド鎖として存在する“自然界に存在する融合タンパク質”
*2原核生物:核や細胞小器官を持たない生物
*3葉緑体:植物や藻類などの細胞に含まれる光合成を行うための小器官

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