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2019.07.09
イベント情報
理学部講演会を下記のとおり開催します。
7月12日(金)16:30~18:00
理学部14番教室
二酸化炭素と気候、そして気候と歴史
北海道大学大学院地球環境学研究院 山本正伸先生
最近とりまとめている2つの古気候研究の成果についてお話します。
大気中CO2濃度を復元することは地球の気候の歴史を理解するうえで重要です。ベンガル湾海底堆積物から12ppmの精度で過去150万年間のCO2濃度変動を復元しました。その変動は陸上氷床体積の変動と似ていますが、上昇下降のタイミングが数千年の範囲で前後にずれていることが明らかになりました。CO2濃度変動の原因として、第一に全海洋塩分が重要であり、第二に南大洋夏季日射が重要であることが示唆されました。
過去の気候変化が人間社会にどのように影響を明らかにすることは、現在進行 している全球温暖化が社会に及ぼす影響を予測するうえで重要です。別府湾堆積物の分析から、過去2900年間の水温を復元したところ、大規模火山噴火に起因する日射量の減少が数十年規模の寒冷化を引き起こし、さらには50年周期の水温変動の振幅を大きくすることが明らかになりました。同様な変動は堆積物中のマイワシとカタクチイワシの鱗数にも認められ、この水温変動は海洋生態系の変動を伴っていたことが示唆されました。