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2021.01.21

研究ニュース

理工学研究科の上里有紀さんが第40回日本珪藻学会研究集会で優秀発表賞を受賞

受賞した上里有紀さん

受賞した上里有紀さん

プロボスシア属の新種の生活環

プロボスシア属の新種の生活環

2020年12月6日に開催された第40回日本珪藻学会研究集会で、大学院博士後期課程2年生の上里有紀さん(Jordan研究室)が最優秀発表賞を受賞しました.発表タイトルは「北太平洋及びベーリング海におけるProboscia属のseasonal formsの観察と新種の報告」です。内容は以下となります。「北太平洋・ベーリング海に見られる珪藻Proboscia属の新種の発見と季節的な形態変化」

珪藻はいわゆる植物プランクトンの一種で、 海や川、 池など水のある場所であれば淡水・海水問わず世界中に生息している0.1mmほどの小さな単細胞生物です。細胞の周りに珪酸質(ガラス質)の殻を持っており、 その殻の特徴から種の分類がなされてきました。その種数は顕微鏡や遺伝子分析の発達により年々増え続け、 約2万種とも、 また10万種とも言われています。珪藻は一次生産者としても重要で、 海洋の珪藻はその20%を占めていることがわかっています。生息している環境によって群集も変化するので環境指標に使われたり、また種によって生きていた時代も異なるので地層の年代決定にも使われたりします。

私たちは1960年代と2000年代に採取された北太平洋とベーリング海の試料を使って海生珪藻Proboscia (プロボスシア) 属の形態の観察を行いました。この属は季節変化による環境の変動に適応するために形態を変化させることが知られており、 季節の変わり目には2つの形態を合わせ持つ細胞が見られます。

光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡を使って、 殻の形態や微細構造を確認し、 既知種とのは全く異なる形態を持つ種を発見しました。また季節的な形態変化が明らかになっていなかった既知種に関しても、 本研究で初めて観察されました。そのほか観察結果により想定されるこの属の生活環についても提唱しました。本研究は論文にまとめ、 学術雑誌に受理されています。

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