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2021.07.09

研究ニュース

熱水変質現象に伴う花崗岩中の物質移動の解明(研究代表者:湯口貴史准教授)

図1 土岐花崗岩中に認められる緑泥石化の偏光顕微鏡写真

熱水変質現象は花崗岩体中で普遍的に観察される現象です。花崗岩体はマグマ溜りが地下深部でゆっくりと冷却した岩体で、日本列島に広く観察される岩体です。この花崗岩に対して、石油や天然ガスの地下貯留が実施されています。この将来的な安全評価のためには過去の岩体中の化学的特徴の歴史から将来予測を行うことが、重要な課題と位置付けられています。

一方、熱水とはマグマの冷却に伴い,鉱物が晶出した後に残る深成岩体中の高温の溶液で、熱水変質現象とはこの熱水と鉱物が接することで,元々の鉱物が異なる鉱物に変化する現象です。緑泥石化はこの熱水変質の一つの現象です(図1)。

本紙は岐阜県の土岐花崗岩体を例に,①緑泥石化をもたらす物質移動の特徴,②変質のタイミングと温度条件の決定,③変質に伴う熱水流体の化学的特徴の歴史について明らかにしました。この成果は国際誌American Mineralogistにおいて公表しました。

(山形大学理学部 湯口 貴史)

公表論文

Mass transfer associated with chloritization in the hydrothermal alteration process of granitic pluton.

Yuguchi, T., Matsuki, T., Izumino, Y., Sasao, E., Nishiyama, T.

American Mineralogist, 106 (7): 1128–1142(2021年7月号)


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