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光生成された励起電子を捕獲する微量欠陥の起源を赤外分光により解明

2018.08.24

概要

 X線やガンマ線などの目に見えない放射線を可視化する役割を果たす固体素子(シンチレーター)は高エネルギー物理学にみならず医療診断や非破壊検査などで使われています。最近、開発されたシンチレーターCe:Gd3Al2Ga3O12(Ce:GAGG)は高い発光収量を示す一方で、応答時間の長い燐光を示すことが問題視されていました。これは、結晶中に潜む結晶欠陥に励起された電子や正孔が捕獲されるためであり、結晶欠陥の起源を解き明かして如何にして抑制するか、が解決すべき問題として国内外で精力的に研究が進められていました。しかし、結晶欠陥の量が極微量であることから、その真実に迫る決定的なデータが得られていませんでした。

 

 物理学分野の北浦 守教授の研究グループは、低ネルギー放射光を用いた赤外分光と密度汎関数理論に基づく第一原理計算を併用して、この問題に取り組み、励起された電子を捕獲した結晶欠陥が酸素空孔に隣接したアンチサイトGd2+イオンであることを他に先駆けて明らかにしました。また、結晶欠陥がGa3+イオンやAl3+イオンが不足する場合に形成されやすいことも明らかにしました。この研究成果によって、Ce:GAGGシンチレーターの特性改善にむけた指導原理が明確になり、より高品質な結晶の育成を通して性能を極限まで高めることができると期待されます。

 

 本研究の成果は、ビドゴスチ(ポーランド)で行われた国際会議EURODIM2018にて2018年7月9日に招待講演で発表し、国際学術誌 Applied Physics Letters電子版に2018年7月25日に公開されました。 

                              (物理分野 北浦 守 教授)

論文名

Shallow electron traps formed by Gd2+ ions adjacent to oxygen vacancies in cerium-doped Gd3Al2Ga3O12 crystals

雑誌名

Applied Physics Letters, 2018年, 113巻, 041906.

著者名

Mamoru Kitaura(山形大学), Shinta Watanabe(名古屋大学), Kei Kamada(東北大学),
Kyoung Jin Kim(東北大学), Masao Yoshino(東北大学), Shunsuke Kurosawa(東北大学),
Toru Yagihashi(山形大学), Akimasa Ohnishi(山形大学), and Kazuhiko Hara(静岡大学)

 

FIG.jpeg
Ce:GAGG結晶(左)と励起電子を捕獲する結晶欠陥の模式図(右)。本来は紫と緑で示した格子位置をGd3+イオンとGa3+/Al3+イオンがそれぞれ占めるが、緑の位置を占めるアンチサイトGd3+イオンが酸素空孔(白)に隣接して存在するときに励起電子を捕獲してGd2+イオンを形成する。

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