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頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラムに採択されました

2017.10.26

 本学理学部(教授 岩田高広(素粒子・原子核実験)、准教授(素粒子・原子核実験)宮地 義之)の「大型偏極標的によるクォークグルーオンレベルでの核子のスピン構造の研究」が、日本学術振興会の「頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラム」に採択されました。
 これによって、CERNでの国際共同研究COMPASSのために2名の教員と1名の大学院生をCERNに派遣するとともに、欧州からCOMPASS共同研究に参加する研究者を本学に招へいし、国際共同研究の活性化を図ります。

 本学理学部では原子核を構成する陽子や中性子のスピンの起源をクォークグルーオンレベルで探る研究をCERNでの国際共同研究として行い、成果を挙げてきました。

 この研究をさらに活性化するために、日本学術振興会の「頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワークプログラム」に応募いたしましたところ、この度採択されました(申請47件中、採択は12件、うち理工系は本学含む6件採択)。
 本プログラムは国際共同研究ネットワークの核となる優れた研究者を育成し、我が国の学術の振興を図ることを目的として、実施されるもので大学等研究機関が、海外のトップクラスの研究機関と世界水準の国際共同研究を行うことを通じて、相手側への若手研究者の長期派遣と相手側からの研究者招へいの双方向の人的交流を展開する取組を支援するものです。
 これによって、山形大学理学部担当の教員2名と大学院理工学研究科の大学院生1名を2019年度末までCERNに長期派遣して研究を進めると共に、共同研究に参加する欧州各国の研究者を山形大学に招へいし、共同研究を通して人的交流を深めます。

COMPASS共同研究では大型偏極標的を用いて核子内部でのクォークやグルーオンの運動の様子を調べ、核子のスピンの起源を明かにするための研究を行ってきました。今後は、本プログラムの支援により、従来の理論(クォークモデル)で想定されなかったクォークの公転運動の存在の是非に関する問題を中心に研究を発展させてゆきます。

上図はクォークから構成される核子のイメージ。大きな外側の球体 は核子を矢印はその自転(スピン)を表す。小さな球と短い矢印は クォークとその自転(スピン)を表してている。さらにクォークは 公転運動をしているかもしれない(弧状の矢印)。スプリング状の    シンボルは力を伝えるグルーオンを示している。

用語解説

【スピン】
電子、原子核、陽子などの粒子は一般的に自転の性質、スピンを持つことで、小さな磁石になっている。陽子スピンに伴って発現している小さな磁石の性質は医学でのMRIの技術としていかされている。

【核子】
原子核を構成する陽子や中性子の総称。

【クォーク・グルーオン】
核子はクォークと呼ばれる素粒子が結合してできている。この結合はグルーオンという素粒子を交換することによって生み出される。従って、核子はクォークとグルーオンの複合粒子と捉えることができる。

【CERN(ヨーロッパ原子核研究機構】
スイスのジュネーブにある素粒子、原子核の研究所。世界最大級の粒子加速器を用いて先端的な研究が行われている。

【COMPASS国際共同研究プロジェクト】
欧州、米国、アジアなど世界13カ国から200名以上の研究者が参加するCERNでの国際共同研究。日本からは山形大学を代表研究機関として、宮崎大学、中部大学、高エネルギー加速器研究機構の研究者が参加している。なお、山形大学からは理学部担当の岩田高広教授、宮地義之准教授らのグループが参加している。主な研究テーマは陽子や中性子などのスピンの起源をクォークやグルーオンという素粒子のレベルで探究することである。2018年度には、陽子内部でのクォークの公転運動の状況を調べるための測定が予定されている。

【偏極標的】
原子核のスピンの方向をそろえた特殊なターゲット。 陽子偏極標的の場合、水素を含む物質(例えばアンモニア)中の水素核(陽子)のスピンをそろえている。COMPASSの偏極ターゲットは世界最大級の大きさを誇っている。

【クォークモデル】
核子などが3つのクォークの組み合わせでできているという理論。この理論では核子中のクォークは自転(スピンを持つが)しているが公転はしていないと考える。

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