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素粒子

素粒子のスピンの謎を追う

自然の時計仕掛けの謎をあばき出せ
物理学分野 岩田高広 教授

陽子は微小な基本粒子クォークがいくつか結びついてできています。この時、クォークの結合を支配するのは、グルーオン(糊粒子)とよばれる粒子です。これまでの研究によって、クォークやグルーオンが陽子内部で持つ運動量分布などについても明らかにされています。しかし、陽子のスピンが何によってできているのか、その起源はまだわかっていません。クォークもスピンを持っていますので、それによって陽子のスピンが説明されるべきだと信じられてきました。ところが、それだけでは陽子のスピンが説明できないことが分かってきました。それでは、他に何が陽子スピンを担うことができるのでしょうか?。

自然界には様々な回転があります。大きなものは宇宙の星雲から小さなものはくるくる回るコマ、さらに原子中の電子など極微の世界にも回転が存在します。回転しない皿では皿回しができないし、止まったコマは倒れてしまいます。回転運動はものを安定に保つ重要な働きをしています。そして、微小な回転を突き詰めてゆくと、物質の最小単位である陽子などの素粒子の自転(スピン)にたどり着きます。

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陽子は微小な基本粒子クォークがいくつか結びついてできています。この時、クォークの結合を支配するのは、グルーオン(糊粒子)とよばれる粒子です。これまでの研究によってクォークやグルーオンが陽子内部で持つ運動量分布などについても明らかにされています。しかし、陽子のスピンが何によってできているのか、その起源はまだわかっていません。クォークもスピンを持っていますので、それによって陽子のスピンが説明されるべきだと信じられてきました。ところが、それだけでは陽子のスピンが説明できないことが分かってきました。それでは、他に何が陽子スピンを担うことができるのでしょうか?

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クォークとクォークの間に働く力を記述するQCD理論によると、2つの候補が考えられています。一つは、グルーオンのスピンによる効果です。グルーオンもスピンを持つため、陽子のスピンに寄与すると考えられています。もうひとつ候補はクォークやグルーオンが陽子の重心の周りで公転する効果です。この効果は従来の理論(クォークモデル)では考慮されていませんでした。

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私たちは、陽子のスピンの起源を明かにするために、国際共同研究を行っています。この研究は、ジュネーブ(スイス)の直径1kmの大型陽子加速器からの高エネルギービームを用いて行われています。特に、グルーオンスピンとクォークが公転による陽子スピンに与える効果を詳細に調べることを目標にしています。この研究には、”大型偏極標的”が欠かせませんが、これは陽子のスピンの方向をそろえることができる特殊な標的で、世界的にもユニークな実験装置です。

山形大学のグループは、偏極標的の技術をもつ世界有数のグループとして、国際共同研究の中で重要な役割を担っています。

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