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物理学

教育・研究×大学教員

渡辺 秀治さん

金沢工業大学
数理・データサイエンス・AI教育課程
2018年入職

所属していたコース(分野)で学んでいた専門の内容について具体的に教えてください。

学部在籍中は、主に基礎的な物理や数学を学びました。また物理現象を数学的に表現する方法も学びました。大学院以降は、物質中における電子の振る舞いとその物質の性質の関係性や、物質中の電子の振る舞いそのものを取り扱う理論的方法を学びました。また研究者になるための素養についても学びました。

現在の仕事内容を教えてください。

大学1、2年生を対象としたデータサイエンス、AI、数学、力学の授業を担当しています。また、数学や物理が苦手な学生の学習支援もしています。最近は、デジタル教材を作成するための動画・画像素材の開発や提供、データサイエンスに関する学習や実験学習を支援するWebアプリケーションの開発も行なっています。

学生時代に学んだことが、現在の仕事にどのように活かされているか具体的に教えてください。

大学1、2年生の授業で挫折したことをきっかけに、与えられた問題を解き、その周辺知識を覚えるという学習をやめました。そして、複数の書籍を学習の軸に、今自分が取り組んでいる範囲の知的体系を学び、抽象と具体の間を行き来するような学習を心がけるようにしました。また、多くの先生の指導も頂きました.その過程で、情報の取捨選択と整理、巨視的な視点と微視的な視点のバランスなど多くのことを学びました。
現在、様々な分野における基礎的な内容から研究・開発に関わる発展的な内容まで、多岐にわたる学習支援活動を行っております。このような多様な事案に対応する際、山形大学で過ごした日々で習得した知識や知恵が活かされていることを実感します。

現在勤めている会社に入社を決めた理由(志望動機)を教えてください。

金沢工業大学(以下、本学)のことや今所属する部署の活動については、大学院在籍中の恩師からの紹介で知りました。
本学の前に高校の非常勤講師をしており授業も部活指導も非常に有意義でした。しかし、それでも大学教員へ転職をしたのは、より応用的な場面で物理と数学を扱うときの学習サポートをしたかったからです。また現状の知識量や能力に関係なく、物理と数学のスキルを向上させたい学生をサポートするということにも魅力を感じました。
私自身、大学と研究所に在籍している間に様々な方のサポートを受けて、自身の能力の向上や視野の広がりを経験しました。その経験を直接活かせる仕事でもあります。
大学1、2年次の学生により広い価値観や多様な視点を提供し、学生の成長をサポートできる現職に強い魅力と意義を感じたことが志望動機です。

現在の仕事でやりがいを感じる点について具体的に教えてください。

授業後や指導後に『理解できるようになりました』や『心の底から納得できました』、『物理や数学に対する印象が変わりました』というコメントをもらった瞬間です。
物理、数学の勉強で伸び悩みを抱えている学生の多くは、『知識の体系化』、『高解像度での状況把握』、『状況や関係の数学的表現』、『計算の実行能力』の何処かに問題を抱えています。この中で『高解像度での状況把握』、『状況や関係の数学的表現』は、あまり意識されていません。私が授業する際や質問対応する際は、この点を意識しています。そしてそれが伝わるように十分な時間をかけて授業準備します.前述のようなコメントをもらったとき、自分の費やした時間が少しでも学生のためになったのだと実感できます。これが現職のやりがいだと思います。

今後挑戦してみたいことなどご自身のキャリアプランについて教えてください。

挑戦してみたいことが多すぎて、このスペースには書ききれません。(※ということにさせてください。)多様な分野での小さな挑戦と小さな結果を楽しんでいるのが現状です。
変化が激しいこともあり、仕事と家庭を両立させつつ、中長期的考察を忘れず、目の前のミッションに集中し、結果を出すことを常に心がけています。

これから就職を考える高校生や中学生に対して業種や職種を選ぶ上でのアドバイスがあればお願いいたします。

まず、その職場で与えられた仕事や期待に応えられるか事前に分析してみましょう。インターン等、希望する職場の業務内容やスピード感を事前に知ることができるのであれば、知るべきです。そして学校での様々な活動における自分の行動とその結果を、時間的、精神的、経済的なコストと利益という観点で分析します。これによりその職場で仕事を続けられるか否か、ある程度わかると思います。さらに、今の自分の能力の限界やパフォーマンスを維持できる時間を数値的に把握すると、より正確性が増します。
次に、その職場で自分が成長できているか調べましょう。少なくとも、その職場で働いた先に自分の理想が1つ以上あるかを確認すべきです。仕事という行為の先に自分の理想があれば、それが辛いとき大きな支えになります。そして、自己成長へとつながります。
また、明確な志望動機や将来像が見えない場合、少なくとも今の気力と能力を失わないか、そして職場に貢献することで自分が理想とする方向に成長できるかを基準に決めても良いと思います。
最後に私の経験を書きます。主観的な側面が非常に強かった過去(今も?)の私は、興味・関心が先行し、『その仕事ができるか』という予測を見誤ってばかりでした。迷惑をかけたことも多々あります。しかし、そのときの自分の能力でその職場に対してできる努力は続けたと思っています。また、常に自己成長を意識して努力を続けてきました。対人関係がそれほど悪くなく、それなりに成果を出し続け、自分の希望を適切に発信できれば、それを評価してくれる人が必ずいます。 不安はあると思いますが、安心して一歩を踏み出しましょう。


■金沢工業大学

金沢工業大学では、イノベーションの創出を可能にする「世代・分野・文化を超えた共創教育」を実践します。
プロジェクトデザイン教育を主柱とした正課教育と、知識の応用力を高める課外プロジェクトを通じて、
「自ら考え行動する技術者」を目指します。
https://www.kanazawa-it.ac.jp/


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