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2024.02.06

研究ニュース

大学院理工学研究科博士後期課程2年の小㘴間孔志さんが千葉県で行われた9IDMRCSで、水素結合系と非水素結合系の溶液について低振動数領域でのラマン散乱と誘電緩和分光での比較をおこなった研究に関してポスター発表を行いました。

物質に光を照射し、その散乱光から分子レベルでの組成や運動の情報を取得できるラマン散乱測定があります。近年の分光技術向上によりマイクロ波領域までの測定が可能となりました。しかし、この周波数領域で現れるラマンスペクトルは、これまで理論として確立された赤外領域のスペクトルとは異なっていました。マイクロ波領域の身近な使用例として電子レンジがあります。この原理は水分子の配向運動に影響する特定周波数の電磁波を照射し、水分子が電磁波のエネルギーを吸収し配向運動することで熱が発生するという仕組みです。この水分子配向運動の最大吸収率周波数は室温において約25 GHzにあるのですが、ラマン散乱で測定すると約100 GHzに現れることが分かっています。現状マイクロ波領域に現れる吸収と散乱のスペクトルは、本当に同じ配向運動を反映しているかについては議論のさなかにある問題となっています。そこで小㘴間さんが多種の溶液をマイクロ波領域の吸収測定である誘電緩和と、散乱測定であるラマン散乱で測定を行ったところ、分子内の水酸基数によって吸収と散乱で現れるピーク周波数の近さに影響することがわかりました。今回、小㘴間さんは千葉県の幕張メッセで行われた9th International Discussion Meeting on Relaxations in Complex Systems(2023年8月12日〜8月18日)の国際学会で、その研究内容をまとめたポスター発表を行いました。

※この活動に対し、山形大学校友会 令和5年度事業「大学院理工学研究科博士課程学生研究発表奨励事業」による支援を行っております。