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2020.06.26

研究ニュース

CTA大口径望遠鏡1号基がカニパルサーの超高エネルギーガンマ線信号を検出

超高エネルギーのガンマ線天体を観測する次世代望遠鏡であるチェレンコフ・テレスコープ・アレイ(CTA)大口径望遠鏡1号基(Lage Sized Telescope, LST-1)が、中性子星カニパルサーが放出する周期的な超高エネルギーガンマ線信号を検出しました。

カニパルサーは毎秒約30回転という高速で回転する中性子星で、周期的に明るさが変動する様子からパルサーと呼ばれています。ガンマ線を放射しているタイミングを精査することで、パルサーの強大な磁気圏の様子や、電磁波の放射機構が明らかになると期待されます。

下の図はLST-1が測定したガンマ線の事象数を、パルサーの自転周期に合わせて表したものです。

Credit: Rubén López-Coto; Pulsar gif: Michael R. Gallis

パルサーからの超高エネルギーガンマ線は検出が難しく、近年の観測装置の高性能化をもってしても、現在まで数例の限られた報告がなされるにとどまっています。LST-1による短時間の観測でカニパルサーの信号が検出できたということは、LSTの性能の高さを証明しています。これからLST2号基以降が建設され、完成したCTAによるさらなる高精度・高感度観測が待たれます。

国際共同研究プロジェクトであるCTAは、世界31カ国1,400名を超える研究者が参画しており、日本からも東京大学宇宙線研究所を中心に山形大学を含む22の大学や研究機関から、100名を超える研究者が参加しています。山形大学の研究グループは、ミラーで集められた光を電気信号に変える焦点面検出器モジュールの開発に携わりました。

LST-1は北半球サイトであるスペイン領ラ・パルマ島に完成(2018年10月、山形大のリリース)して以来、調整と試験観測を続けてきました。2019年11月には標準光源天体であるカニ星雲の超高エネルギーガンマ線の検出を報告しています。

Credit:Takeshi Nakamori

Credit:Takeshi Nakamori

CTA Observatory https://www.cta-observatory.org/
CTA Japan http://www.cta-observatory.jp/

(文責:中森健之)