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2020.07.13

研究ニュース

マグマ溜まりの中の石英の結晶成長プロセスの解明

石英は、マグマ溜まりが冷却固化した花崗岩中に広く産出する鉱物です。石英の結晶成長プロセスの解明は、マグマ溜まりの発達進化を考える上で有用な手がかりとなります。

今回の研究では、石英の結晶成長プロセスの解明のために名古屋大学宇宙地球環境研究所(加藤丈典准教授)と山形大学との間で共同研究を実施しました。新たな手法として、①石英の形状や粒径に着目した岩石記載と②カソードルミネッセンス像観察*、そして③極微量に含有されるチタン濃度の定量分析を組み合わることで、石英の結晶成長は、マグマ溜まりの温度変化とともに連続的なイベントを持つことを明らかにしました。この成果はJournal of Asian Earth Sciencesに公表しました。

*カソードルミネッセンス像とは、電子顕微鏡で鉱物が電子に照射した際に発する光を検出し像としたもの(図1)。鉱物中の微量元素や格子欠陥などにより光の量は変化します。

(山形大学理学部 湯口 貴史)

カソードルミネッセンス像

図1 石英中のカソードルミネッセンス像:成長開始箇所から累帯構造が発達

公表論文

Crystallization processes of quartz in a granitic magma: Cathodoluminescence zonation pattern controlled by temperature and titanium diffusivity

Yuguchi, T., Ogita, Y., Kato, T., Yokota, R., Sasao, E., Nishiyama, T.

Journal of Asian Earth Sciences 192, 104289

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1367912020300705?via%3Dihub