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2021.01.12

研究ニュース

天体観測用の超高速動画カメラ技術をやまがた天文台で実証

やまがた天文台での観測実験の様子

やまがた天文台での観測実験の様子

太陽や夜に見える多くの星は、いつも同じ明るさで輝いています。その一方で、中には明るさが変化する様々な種類の天体が存在することも知られています。光度が変化する原因も様々です。光度の時間変化を精密に測定することは、天体現象の謎を解く重要な手かがりとなります。

中森教授の研究グループは国産の半導体光センサを独自に開発し、1秒よりはるかに短い時間スケールで光度変動する可視光天体を観測する基礎技術を確立しました。このセンサは、光の最小単位である光子を検知でき、ナノ秒(10億分の1秒)という非常に速い信号を出力します。これらの性能を利用すると、微かな光をも捉えられる高速動画カメラが実現できます。本研究では毎秒1万フレームの動画撮影ができるシステムを試作し、ニクニドームやまがた(やまがた天文台)に併設する望遠鏡で、かにパルサーの光度変動を測定できました。

かにパルサーは毎秒30回転ほどの速さで自転する中性子星で、自転に伴って周期的に光度が変動します。その変化の様子や自転速度は世界中で頻繁に測定されていて、素性がよく分かっています。観測装置の登竜門とも言える天体で、装置を作ったら最初に観測されることが多い天体でもあります。

同じ原理に基づく観測システムは国内には例がありません。かにパルサーの光度変化を測定した分解能も国内「最速」の成果です。市街地にあり条件が良いとは言えない天文台のアマチュア用望遠鏡で、かにパルサーの周期信号を検出できたことはセンサ性能の高さによるものです。

今後はシステムの小型化と安定化を進め、より大きな口径の望遠鏡へ搭載を目指します。可視光の高速カメラはまだまだ発展途上で観測体制が手薄なため、本研究の成果は未知の天体現象の探索と発見につながる技術と言えます。

掲載雑誌:Publication of Astronomical Society Japan

題名:Development of an optical photon-counting imager with a monolithic Geiger Avalanche Photodiode array

著者:Takeshi Nakamori1, Yuga Ouchi1, Risa Ogihara1, Toshio Terasawa2, Yuhei Kato1, Shinpei Shibata1

所属:1. 山形大学理学部/理工学研究科, 2. 東京大学宇宙線研究所