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2021.08.24
研究ニュース
石膏中に見られるナノサイズの浮遊性珪藻類の電子顕微鏡写真(左:珪藻(Chaetoceros属)右:珪藻(Thalassiosira属))
2018年に山形大学とイタリアのトリノ大学は大学間協定を締結しました。山形大学のジョルダン研究室は、トリノ大学との共同研究でこれまでに中新世地中海の微化石に関する論文を2編報告しています(2020.06.22研究ニュース参照)。今回、新たにペレグリノ博士との共同研究で、メッシニアン期の石膏中に閉じ込められた浮遊性珪藻類に関する論文を発表しました。
本研究では、西地中海の様々な海盆縁辺で、メッシニアン塩分危機の初期に海底で形成された石膏結晶中に、ナノサイズの浮遊性珪藻類とそれに付随する有機物が豊富に含まれていることを初めて明らかにしました。この発見は、ナノサイズの浮遊性珪藻類が、石膏の堆積中に炭素やケイ素の輸送に重要な役割を果たしていたことを明らかにし、またメッシニアン期の生物相に関する知識を深めるものです。本研究は、初生的な石膏が、古代の環境危機に対する海洋生物の反応を解明するための有望な情報アーカイブであることを裏付けました。
論文の日本語タイトル
一瞬で閉じ込められた微小なガラス:メッシニアン期(後期中新世)の石膏に含まれるナノサイズの浮遊性珪藻類
論文の詳細
Pellegrino, L., Natalicchio, M., Abe, K., Jordan, R.W., Favero Longo, S.E., Ferrando, S., Carnevale, G., and Dela Pierre, F. (2021). Tiny, glassy, and rapidly trapped: The nano-sized planktic diatoms in Messinian (late Miocene) gypsum: Geology, v. 49, https://doi.org/10.1130/G49342.1