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2021.12.27

研究ニュース

博士前期課程2年の渥美友夏さんが東北植物学会第11回大会において優秀発表賞(口頭発表の部)を受賞

東北植物学会第11回大会優秀発表賞(口頭発表の部)を受賞した渥美友夏さん(大学院理工学研究科博士前期課程2年(生物学分野))


2021年12月11日~12日に開催された東北植物学会第11回大会において,大学院理工学研究科博士前期課程2年(生物学分野)の渥美友夏さんが研究成果の発表を行い,優秀発表賞を受賞しました。渥美さんは,2021年9月24日~26日に開催された日本宇宙生物科学会第35回大会における口頭発表でも優秀発表賞を受賞しており,今年度2つ目の優秀発表賞を受賞することとなりました。

地球上のあらゆる生物にとって「水」は必須です。特に,移動能を持たない植物にとって陸地環境の限定された水を効率よく獲得していくことは,その生存に必要不可欠と言えます。このため,植物は土壌中の水の勾配を感知して,吸水器官である根を水の多い方向へと屈曲伸長させることができます。この現象は水分屈性とよばれます。水分屈性に必須のタンパク質として,MIZU-KUSSEI1(MIZ1)とMIZU-KUSSEI2(MIZ2)が知られていますが,水分屈性が起こるときにMIZ1とMIZ2がどのようにはたらくのかは,これまで全くわかっていませんでした。渥美さんは,細胞内のタンパク質の局在の変化を定量的に評価する手法を開発し,これを用いて緑色蛍光タンパク質(GFP)と融合させたMIZ1タンパク質(MIZ1-GFPタンパク質)の細胞内の局在が水分屈性の初期段階で変化することを定量的に示すことに成功しました。この変化は,重力方向に対する屈性(重力屈性)や方向性の無い脱水ストレスでは生じませんでした。よって,水分屈性に伴うMIZ1-GFPタンパク質の細胞内局在の変化は水分屈性に特異的なものであると考えられます。さらに,水分屈性に伴うMIZ1の局在の変化にはMIZ2のはたらきが必要であることも明らかにしました。これを手掛かりとしてMIZ1とMIZ2がどのように協調して水分屈性を調節するのかを明らかにすることは,植物が進化の過程で獲得した水獲得戦略の理解だけでなく,水獲得能力の高い植物の開発による乾燥地の緑化や農業の省水化などにもつながります。

【発表演題】

「MIZ2/GNOMに制御された水分勾配刺激特異的に生じるMIZ1の細胞内局在変化は水分屈性の初期応答に必須である」

【発表者】

渥美友夏(山形大学大学院理工学研究科博士前期課程2年(生物学分野)),澁田未央(山形大学助教、理学部担当),宮沢豊(山形大学教授、理学部担当)


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