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2022.10.24

研究ニュース

蔵王山の御釜火口の活動をもたらしたマグマプロセスに関する研究成果が国際学術誌に掲載されました(研究代表者:伴雅雄教授)

 山形大学大学院理工学研究科の佐藤初洋さん、理学部理学科(地球科学分野)の伴雅雄教授(研究代表者)、湯口貴史教授、大学院理工学研究科卒業生の足立辰也さんの研究グループは、蔵王山の歴史時代の活動をもたらしたマグマプロセスを火山噴出物に含まれる直方輝石斑晶の解析から明らかにしました。その成果が国際学術誌Journal of Volcanology and Geothermal Researchに掲載されました。

 山形県と宮城県にまたがる蔵王山は東北日本の代表的な活火山です。東北地方太平洋沖地震以降、噴火の前兆的現象がたびたび観測されており、今後の活動が注視されています。噴火推移予測の高度化には、活火山地下に存在するマグマの噴火準備過程(注:マグマが蓄積・噴火に至るプロセス)を明らかにすることが必要です。本研究では、蔵王山、御釜火口の13世紀から19世紀までの活動(御釜火砕物)を対象として、噴出物中に含まれる直方輝石斑晶の組成累帯構造(注:結晶の成長に伴ってできる縞状の組織、図1)を詳細に分析しました。その結果、1) 組成累帯構造の解析から、地殻内に浅部マグマ溜まりが存在し、より深部から上昇してくるマグマと混合して噴火していたこと、2) 数値計算による元素拡散モデリングから、マグマの混合は噴火の数年前から開始し、3ヶ月前~数日前にかけて活発化していたことを明らかにしました。これらの成果は、蔵王山や類似の火山における噴火推移予測に貢献できる可能性があると考えられます。

発表論文の詳細

  • 表題:Pre-eruptive magmatic processes of historical activities at Zao volcano, northeastern Japan: Insights from compositional zoning in orthopyroxene phenocrysts(東北日本,蔵王火山の歴史時代活動における噴火準備過程:直方輝石斑晶の組成累帯構造からの知見)
  • 著者:Motohiro Sato, Masao Ban, Takashi Yuguchi, Tatsuya Adachi
  • 掲載誌:Journal of Volcanology and Geothermal Research
  • URL:https://doi.org/10.1016/j.jvolgeores.2022.107686

助成

本研究は文部科学省「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」およびJSPS科研費・基盤研究 (C) 「活性化する蔵王山:浅部マグマ溜りの詳細構造と噴火に至るタイムスケールの解明」(17K05701 代表者:伴雅雄)の支援を受けました。

図1. 直方輝石斑晶の後方散乱電子像.組成累帯構造が観察され,結晶の外縁部にマグマ混合の証拠となる複数の高Mg帯がみられる.高Mg帯とその内側の境界は明瞭で,元素拡散が進む前(数ヶ月程度)に噴火したことを示唆する.

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