Research
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私達の研究室では噴火現象をコンピュータでシミュレーションし、影響範囲を予想してハザードマップなどを作成する研究や、噴火現象のメカニズムを解明する研究を行っています。特に注目しているテーマは一般的に大きな噴石と呼ばれる火山岩塊の運動と、火砕流や泥流などの斜面を流れ下る現象です。どちらも高速で破壊力が大きいため、大変危険で対策が求められる現象です。2014年に御嶽山が噴火した際、火山岩塊によって多くの死傷者が出たことは皆さんのご記憶の中にもあるのではないでしょうか。野外における過去の噴火の噴出物の調査や、噴火を模擬した実験、またそれらの解析を行って現象を学びます。さらに数値シミュレーションを行って、野外調査や実験の結果と比較することでその現象がどのような法則に基づいて起きているか、などの物理的なメカニズムを解明します。このような研究を行うことでハザードマップを作成する際に用いられる数値モデルの開発、改良ができ、防災対策に役立つことが期待されます。
野外調査や航空写真判読から得られた過去の噴火の噴石の分布の様子(図1)をシミュレーション(図2)の結果と比較して噴出速度、噴出角度を求める研究を行っています。蔵王山以外にも山形県と福島県にまたがる吾妻山においても同様の研究を行っています。
火山弾・岩塊が噴出した場合、火口から飛び出すガスや空気抵抗や揚力などが空中での岩塊の運動の様子を変化させます。そこで、噴火を模したTrashCano(Trash Can=ポリバケツ、Canon=大砲)実験と呼ばれる実験を行って(図3)、爆発によってどのように火山岩塊が放出されるのかなどを研究しています。
また、通常はスポーツのボールなどを計る風洞で、瀬尾和哉 教授(理学部)にお願いして火山岩塊の空気抵抗や揚力を測定していただいています(図4)。この時、大きさによる違いを火山岩塊の抵抗などを測定する研究は世界的にも珍しく、火山岩塊の複雑な形状がどのように噴出後の運動に影響を与えるかは今後の数値シミュレーションモデルの開発にとても重要です。
火山が爆発的な噴火をすると多くの火山灰が火山の斜面に堆積し、そこに雨などが降ることによって泥流が起こります。また、冬季の積雪が多い時期に噴火が起こると熱い噴出物が雪を融かすことによっても泥流は起こりますし、蔵王の御釜のような火口湖が噴火の際に溢れたり決壊したりすることでも起こります。山形大学に一番近い活火山である蔵王火山では、泥流の発生が起こりやすい条件が重なっているにも関わらず、過去の噴火についての調査やシミュレーションに関連した研究はほとんど行われていませんでした。そこで、伴教授(理学部)やその学生、また新潟大学災害・復興科学研究所の片岡香子准教授と共同研究を行い、過去の泥流の調査(図5)を進めながらシミュレーション結果と比較検討する研究を行っています。